硬化療法の概要

硬化療法は薬剤で静脈を退縮させる治療法です。患部に直接硬化剤を注射し、その後、弾性ストッキングや弾性包帯などで圧迫して、静脈瘤をつぶします。
治療した静脈は、半年から一年程度で徐々に器質化され徐々に小さくなり、最後は組織に吸収されます。

硬化剤の種類と治療

硬化剤は3種類の濃度があり、患者様の症状によって選択が変わります。

現在、硬化剤をそのまま使用する「液状硬化療法」と空気または二酸化炭素によって泡状にしたものを使用する「フォーム硬化療法」の2種類の治療法があります。「液状硬化療法」は皮膚から浅い、1mm以下の細い血管にできている蜘蛛の巣状静脈瘤の治療に使用されることが多く(マイクロ硬化療法)、「フォーム硬化療法」はより太い血管を対象とし治療に用いられます。

おいては他の治療法と併用されることも多い治療です。

硬化療法のイメージ

引用:下肢静脈瘤.net

実際の治療

治療前後の注意事項

治療前

  • 硬化療法を受けた後は、弾性ストッキングまたは包帯をしっかり巻きますので、ゆとりのあるズボンや長めのスカートを着用してご来院ください
  • 履き物は高いヒールの靴やサンダル、ブーツなどを避けてください

治療後

  • 当日の入浴・飲酒・過度な運動は控えてください
  • 長時間じっと立ったり座り続けることを避けてください
  • 弾性ストッキングは約1ヶ月間着用してください。詳細な履き方や期間は担当医師または看護師の指示に従ってください
  • 就寝の際はクッションを足元に置いて脚を高くしてください

次のことが起こる可能性があります

  • 一過性の症状として目がチカチカしたり、目の前が暗くなることがあります
  • 治療部位が茶色くなる等の色素沈着は1年以上かかることがありますが薄くなっていきます
  • しこりができることがあります。揉んでも小さくなりませんが治療後半年くらいで消失することが多いです

よくある質問

硬化療法を始めるにあたっての心構えや注意事項はありますか?

静脈や静脈瘤の一定の知識は必要です。硬化療法を始める前に経験のある先生の手技を見学するか、ビデオ等を見ていただくことを推奨いたします。硬化剤や合併症について知っていただき、さらに患者様に十分説明し、同意を得ておくことも大切です*
伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135

硬化剤濃度の選択方法を教えてください。

〈液状硬化療法で使用する場合〉
静脈瘤径別の使用薬剤は下表を参照し、注入量は必要最小限にとどめること。

硬化剤濃度〈液状硬化療法で使用する場合〉

〈フォーム硬化療法で使用する場合〉
静脈瘤サイズ別の使用薬剤及び1穿刺あたりの投与量は下表を参照し、注入量は必要最小限にとどめること。ポリドカスクレロール0.5%注2mLはフォーム硬化療法には使用しないこと。

硬化剤濃度〈フォーム硬化療法で使用する場合〉

硬化療法にはどんな設備・材料が必要ですか?

ベッド、足枕、注射器、注射針、絆創膏、酒精綿、ブラッドバン、弾性包帯(弾性ストッキング)枕子、硬化剤などあらかじめ用意しておくことをお勧めします*
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135

硬化療法に必要なスタッフ人数はどれくらいでしょうか?

最低でも医師一名、助手一名が必要ですが、できれば3名以上が望ましいです。特に患者を立位にして針を刺す際には貧血を起こすことがあり、十分に患者の状態をチェックし、対応ができる体制、人員数で運営しましょう*
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135

硬化療法後の生活指導はどのようなものがありますか。

通常の日常生活をお送りいただきます。安静はむしろ深部静脈血栓症を起こす可能性があるためよくありません。強い腹圧や、正座は避けさせるのが望ましいです*
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、137

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