硬化療法は薬剤で静脈を退縮させる治療法です。患部に直接硬化剤を注射し、その後、弾性ストッキングや弾性包帯などで圧迫して、静脈瘤をつぶします。
治療した静脈は、半年から一年程度で徐々に器質化され徐々に小さくなり、最後は組織に吸収されます。
硬化剤は3種類の濃度があり、患者様の症状によって選択が変わります。
現在、硬化剤をそのまま使用する「液状硬化療法」と空気または二酸化炭素によって泡状にしたものを使用する「フォーム硬化療法」の2種類の治療法があります。「液状硬化療法」は皮膚から浅い、1mm以下の細い血管にできている蜘蛛の巣状静脈瘤の治療に使用されることが多く(マイクロ硬化療法)、「フォーム硬化療法」はより太い血管を対象とし治療に用いられます。
おいては他の治療法と併用されることも多い治療です。
静脈や静脈瘤の一定の知識は必要です。硬化療法を始める前に経験のある先生の手技を見学するか、ビデオ等を見ていただくことを推奨いたします。硬化剤や合併症について知っていただき、さらに患者様に十分説明し、同意を得ておくことも大切です*。
伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135
〈液状硬化療法で使用する場合〉
静脈瘤径別の使用薬剤は下表を参照し、注入量は必要最小限にとどめること。
〈フォーム硬化療法で使用する場合〉
静脈瘤サイズ別の使用薬剤及び1穿刺あたりの投与量は下表を参照し、注入量は必要最小限にとどめること。ポリドカスクレロール0.5%注2mLはフォーム硬化療法には使用しないこと。
ベッド、足枕、注射器、注射針、絆創膏、酒精綿、ブラッドバン、弾性包帯(弾性ストッキング)枕子、硬化剤などあらかじめ用意しておくことをお勧めします*。
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135
最低でも医師一名、助手一名が必要ですが、できれば3名以上が望ましいです。特に患者を立位にして針を刺す際には貧血を起こすことがあり、十分に患者の状態をチェックし、対応ができる体制、人員数で運営しましょう*。
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、135
通常の日常生活をお送りいただきます。安静はむしろ深部静脈血栓症を起こす可能性があるためよくありません。強い腹圧や、正座は避けさせるのが望ましいです*。
*伊藤勝朗ら「下肢静脈瘤硬化療法 第2版」医葉薬出版株式会社、1996年、137