下肢静脈瘤の概要

下肢静脈には筋肉の中を走る「深部静脈」と皮膚と筋肉の間を走る「表在静脈」があり、静脈瘤ができるのは皮膚に近い表在静脈です。

下肢の静脈には血液が重力によって足先へ逆流しないように弁がついていますが、それらの弁が壊れると血液の逆流が起こり、うっ血が生じて血管の拡張や蛇行することによりコブのようにふくれた状態になります。このような状態を下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)と呼びます。

種類と症状

下肢静脈瘤は人によって症状が異なります。場合によって足のだるさ、むくみなどがあり、午後から夕方にかけてそれらの症状が強くなるのが特徴です。同じ下肢静脈瘤であっても、「クモの巣状静脈瘤」「網目状静脈瘤」「側枝型静脈瘤」「伏在型静脈瘤」という4つに分けることができます。

網目状静脈瘤

青く細い血管が見えることが特徴です。皮膚表面にある静脈が蛇行しています。

クモの巣状静脈瘤

赤く細い血管がクモの巣のように皮膚にひろがって見えますクモの巣状静脈瘤が進行して伏在型静脈瘤になることはありません。

側枝型静脈瘤

伏在静脈瘤から枝分かれした、やや細い血管が浮き出た状態になる静脈瘤です。血管のコブは2~3mmに拡張していますが、伏在型静脈瘤と比較すると小さい静脈瘤です。

伏在型静脈瘤

皮膚に近い静脈が浮き出て、血管が太くなりぼこぼこした状態です。脚の付け根の逆流防止弁が壊れた大伏在静脈瘤と、ひざ裏の逆流防止弁が壊れてふくらはぎに症状が現れる小伏在静脈瘤にわけられます。いずれも静脈の直径が4mm以上になり太くなった状態の静脈瘤です。

血管内レーザー焼灼術

血管内レーザー焼灼術は、静脈を内側から焼灼して血液の逆流を止めるレーザーファイバーによる治療です。

まず、静脈に細い針を刺して、その針穴から静脈の中にレーザーファイバーを入れます。
次に、このレーザーファイバーの先端より照射されたレーザー光により治療静脈が熱化され、静脈を内側から閉塞させます。レーザー焼灼され機能を失った静脈は血液が流れなくなり徐々に器質化し、その後半年から1年で自然に身体に吸収されます。

従来の静脈抜去術に比べて、傷が小さいため体への負担が軽く低侵襲な治療です。局所麻酔30分程度で終了するため、日帰り手術で行うことができます。また、血管内レーザー焼灼術には保険が適用されています。

よくある質問

血管内レーザー焼灼術の適応となるのはどんな方ですか?

ELVeSレーザー1470(LEONARDO Bonsai 1470)による治療が適応となるのは、一次性の下肢静脈瘤(血管径20mm以下の大伏在静脈瘤または小伏在静脈瘤)で易疲労感、疼痛、浮腫、こむら返り等の症状がある場合です。

血管内レーザー焼灼術を受けられないケースはどんな場合が想定されますか?

急性期の深部静脈血栓症や、慢性深部静脈閉塞の患者様。
コントロールできない血液凝固異常の方、妊娠もしくは授乳中の方。
治療後に歩行が困難な方が想定されます。

手術後の傷跡はありますか?

レーザー治療は血管内治療になりますので、傷跡は光ファイバーの挿入部のみです。
針穴からファイバーやイントロデューサーを挿入する穿刺法、小切開法での静脈アクセスになりますが、いずれも傷跡は光ファイバー挿入部の1か所のみです。

血管内レーザー焼灼術装置の使用にあたり条件はありますか?

はい、レーザー装置は使用条件があります。
下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会にて策定された基準内容を満たし、かつ当社の実施するELVeSレーザー1470の講習を修了していることが必要となります。
(使用条件についてはこちらを参照ください。)

血管内レーザー焼灼術後の患者指導や注意点はありますか?

日本国内では外科手術後のVTE予防として弾性ストッキングの着用が推奨されており、レーザー治療後の弾性ストッキング着用についても推奨されています。しかし、術後圧迫療法の有無による血栓性合併症の発生率には有意差がないと言われています。
また、術後にしっかりと歩行をすることで血栓症のリスクを減らすことができます。術後は安静にすることや激しい運動は避けて、適度に歩行するようにしましょう。

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